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広田さんの優しさが身に沁みる。
「ありがとうございます…。」
温かいミルクティーを受け取ると、広田さんはそのままポンときよらの頭に手を置いた。
…大きな手。
あまり喋んないけど紳士的だよね…。
…誰かとは大違い…。
「遅いと置いてくからね。」
遠くからその『誰か』がこちらを振り返って言う。
一瞬、テレパシーでも使えるのかと思って焦った。
きよらは小走りでその後を追った。
新幹線の車内に乗り込むと、水野主任がきよらの荷物を取り上げて網棚に載せた。
目線だけの無言できよらに窓側に座るよう促す。
「あ、ありがとうござ…」
「俺、着くまで寝るから。」
「……。」
…もはや喋るなと…。
水野主任はドサッときよらの隣に腰を下ろすと、さっさと目を閉じた。
ふわりと水野主任の香水の香りがした。
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