10706人が本棚に入れています
本棚に追加
/979ページ
自社工場に対しても、本社特有の上から目線で話したりもしない。
案の定、「分かってるクセに」という目線を遥から受けて、きよらは通常業務に戻った。
「藤井さん、お説教の後に悪いけど、コレ10部ずつコピーね。」
アダ名が『お局様』の先輩、岡本さんに書類をバサッと投げ渡される。
…お説教って言うほど、お説教じゃなかったもん…。
「…あい…。」
入社半年の藤井 きよらは、営業部のいわゆる営業事務で、その上司が主任の水野総司様。
きよらの会社は、精密で繊細な製品を製造販売する大手企業。
取引交渉だけでなく、全国各地にある地方工場に出向いて、取引先のニーズに合った製品の試作を依頼したり、製品がどんな環境で作られているか、クライアントに見学させたりするのも営業部の仕事。
隣の席の佐藤 遥とは同期で、きよらにとっては一番話せる友達。
営業部の中ではいくつかグループ分けがされていて、遥とは別のグループだが業務内容はほぼ同じ。
きよらは主任率いる水野グループで、それだけで他の女子社員からはひがまれるが、きよらは水野主任がどちらかといえば苦手。
長身でクールな物腰、いつも爽やかにセットされてるサラサラの黒髪。
甘さのある目元とスッと通った鼻筋で、正に端正な顔立ち。
パリッと着こなすスーツもどこかオシャレ。
最初のコメントを投稿しよう!