* 冷たい上司

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自社工場に対しても、本社特有の上から目線で話したりもしない。 案の定、「分かってるクセに」という目線を遥から受けて、きよらは通常業務に戻った。 「藤井さん、お説教の後に悪いけど、コレ10部ずつコピーね。」 アダ名が『お局様』の先輩、岡本さんに書類をバサッと投げ渡される。 …お説教って言うほど、お説教じゃなかったもん…。 「…あい…。」 入社半年の藤井 きよらは、営業部のいわゆる営業事務で、その上司が主任の水野総司様。 きよらの会社は、精密で繊細な製品を製造販売する大手企業。 取引交渉だけでなく、全国各地にある地方工場に出向いて、取引先のニーズに合った製品の試作を依頼したり、製品がどんな環境で作られているか、クライアントに見学させたりするのも営業部の仕事。 隣の席の佐藤 遥とは同期で、きよらにとっては一番話せる友達。 営業部の中ではいくつかグループ分けがされていて、遥とは別のグループだが業務内容はほぼ同じ。 きよらは主任率いる水野グループで、それだけで他の女子社員からはひがまれるが、きよらは水野主任がどちらかといえば苦手。 長身でクールな物腰、いつも爽やかにセットされてるサラサラの黒髪。 甘さのある目元とスッと通った鼻筋で、正に端正な顔立ち。 パリッと着こなすスーツもどこかオシャレ。
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