第一章

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「!」  予想外にもクレハは右刀を薙ぎ払いながら手放した!  刃が遠心力で加速しながら、ライルの胸元へ吸い込まれていく。ライルの落下速度──斬りかかる勢いを利用した必殺のカウンターだ。 「くっ!」  このままでは良くて相討ちと即断。すんでの所で刃を当て軌道を逸らした。  さすがに完全に振り払うことはできない。逸れた刃が肩口を掠める。外套(コート)を切り裂き、血飛沫が舞った。  一瞬の虚を突き、ライルの太刀筋と体勢を乱す──それこそがクレハの狙いだった。  ──十字火円流十ノ型〈火薙(ヒナ)ぎ・射手返(イシュガエ)し〉。  クレハは投げつけ、空中を泳いだ右手を左刀の柄に添えた。横投投げで捻った腰を反動で逆回転し、左足を踏み込む。峰を返し、諸手水平斬りが、高速で切り返された! (!!)  さすがに反応できなかった。太刀筋を乱され、反撃は勿論、防御も回避も間に合わない。  強烈な衝撃がライルを襲い── ………………… ………… ……
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