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ぐにゃりと歪んだ空間から、不意に人が現われ、ヒースは現われたその人物の首根っこを鷲掴みにする。
それは紛れもなく、エリカの妹のシエラの姿だった。
どうやら口が利けないように唇を縫い付けられ、気を失わされているようだ。
「シエラ!」
突然探していたシエラが現われた事に戸惑いながらも、駆け寄ろうとするシオン。
「こんなの…」
それがさもつまらない事といった顔をしたヒースは、片腕で掴んだシエラの首をギリギリと絞めつけながら、呟く。
そしてもう片方の腕をシオンに向けて差出す。
シエラを救出しようと走ってきていたシオンの身体は、ヒースの差し出した手に操られるように、ヒースが手を上に上げるのに合わせて宙に浮かび上がった。
「なんだこれ…お前、何した!?」
操られるままに持ち上げられながらシオンは叫ぶ。
「なんかやだね。君って本当非力なんだ。知らないだけなんだろうけど、僕と同じなだけあって――やっぱり情けないよ」
落胆した、という風にため息まじりに息を吐くヒース。
「毒されたと思って同情するけど…。まあ、黙っててよ」
ヒースはそう言うと、シオンの身体を天井近くまで浮き上がらせて、
そのまま、床にシオンを叩き落とした。
「がっ…!」
頭から叩き落されたシオンは、苦悶の表情を浮かべる。
何故か、叩き落された時の衝撃はシオンの体重と重力の何倍もの衝撃で、一瞬首の骨が折れたのではないかという程だった。
なんとか手を床に付き、立ち上がろうとするが、立ち上がれない。
「くっ…」
やっとの事で顔だけ上を向くと、そこにはシエラの首を掴んだまま、ヒースが不気味な程無表情にシオンを見下ろしていた。
ザクリ
「ぐあぁっ!」
何が起きたのかシオンにはわからなかった。けれど、何かがシオンの身体を貫き、肉を割いて抉っていた。
ザシュッ ドスッ
「ぅあぁぁっっ!」
肩、両腕、足と、何かわからない、槍のような何かがシオンの身体を次々と突き刺していく。
それをヒースは何の感情も感じさせない顔で、ただ見ていた。
「まあ、まず死なないよ。君は僕だから。それよりもさ…」
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