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言いながら、腕に掴んだシエラを、見せ付けるようにシオンに向かって突き出す。
「シ…エラ!お前ッ――!ヒース!!シエラに何かしてみろ、お前を叩き潰してやる!」
動かぬ身体のままシオンは吼える。
だが、ヒースはそれをせせら笑った。
「叩き潰されてるのは君だろ?何かってそうだな…こういう事?」
ヒースの赤い眼が、不気味に揺らめいた気がした。
そしてヒースはシエラを掴んだ手に僅かに力を入れ、
次の瞬間、シエラは、
エリカの妹であり、エリカと同じくシオンの幼馴染であるシエラは、
ただの、血煙となった。
シオンは、ただ、呆然とそれを見ていた。
見ていることしか出来なかった。
ハハッ
アハハッ
アッハハハハハハハハハハハハハハッ!
床も、壁も、一面血の海になった部屋の中に、無邪気な笑い声が響いた。
「お前…」
返り血を浴びて、子供がプールではしゃぐかのような楽しげな笑い声をあげるそれ。
シオンは呆然と呟き、
「お前えぇぇぇぇぇぇぇっ!」
我を忘れて絶叫した。
「アハハハハハハッ!
こんなものが壊れたってなんだっていうんだ!こんな弱い、くだらない生き物全員死に絶えればいいんだよ!
大体、君も人間じゃないくせに人間と仲良しこよしかい?馬鹿じゃないの?
君なんか人間にとってみれば気持ちの悪い化け物で、居なくなって欲しいってみんなに願われてるってのにさ、少しは許されてるかも知れないとでも?
ほんっと……」
そこまで言って、ヒースはシオンの目の前まで歩いてきて、顔を上げて食い入るようにヒースを睨みつけるシオンを、膝をついて上から見下ろした。
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