黒の物語【1】

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 ユーリをアイドルとして雇っている会社の社長が、急にユーリに用心棒をつけると言い出した。 「自分の身くらい自分で守れますよー!」  そうユーリは主張したが、細身の11歳の、どこからどう見ても弱そうな少女の意見はアッサリと却下された。  ユーリに用心棒、ボディガードがいないわけではない。  公の場に出る時に回りにいる人間や、舞台の警備などをしている人間などはいたが、今度の用心棒は勝手が違って、身辺警護が主の用心棒なのだという。  つまり、いつ何時でも危険が及ばぬように付き従って守るのだ。  私生活にまで踏み入れられるのが嫌だったユーリは、何度か言われたにも関わらずそれを拒んでいた。  だが、今度は社長は引く気がないようだった。  その証拠に、用心棒を付けると言った日から数える程しか日が経ってないというのに、もうその用心棒が来た、というのだ。  ――あー、もうほんとやだなぁ、なんなんだろ用心棒って。  ボディガードって言ったら聞こえはいいけど、自由が奪われるような感じするし  ――…やだなぁ…。  そんな少女の憂いを無視して、用心棒が来ているから社長室に来いとのお達しが来た。  うー…と諦めきれぬように声を漏らして仕方なしにユーリは社長室に向かった。            ××
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