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しかし、今しがた毒づいた相手は、澄んだ海のような睫毛の長い大きな瞳をぱちくりさせながら、こちらの顔をジッと見ている。
――ん…?なんだこの反応。
予定とは全く違った反応に、多少面食らうシェリー。
――近い…。けどこの人、ほんとはとっても綺麗な顔してるんだ…。
そう思いながらユーリはじっとシェリーの顔を観察する。
綿毛みたいな真っ白な髪の毛で、肌も白くて、目は灰色?すごい…こんな人見た事ない。おっきーし…。
ユーリはそう思いながら、相手の頬に触れてみた。
「…っ!」
瞬間、頬に触れた手が離れて、ユーリは文字通り投げ捨てられた。
「わわっ!」
放り出されたものの、体術の心得のあるユーリはひらりと何事もなかったかのように着地した。
――なんだこのガキ!?
それが率直な、シェリーからのユーリに対しての感想だった。
――怯えもしないし泣きもしない、俺という生き物を奇怪だと思っているフシすらねぇ、全く淀みのない目で見つめてくる奴なんざ…。
先ほどのユーリの目を思い出して、シェリーはハッとなった。
記憶の彼方に置き去りにしていた、彼にとっては光のような「あるもの」を見た。
確かめるように、シェリーは向き直ってユーリを見据える。
そこには澄み切った、全てを真っ直ぐに映し出すような、青い青い海の色の瞳があった。
――そうか、この目は…あの…
今一度ユーリを見て、シェリーは心の中で一人、確信した。
××
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