黒の物語【1】

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 しかし、今しがた毒づいた相手は、澄んだ海のような睫毛の長い大きな瞳をぱちくりさせながら、こちらの顔をジッと見ている。  ――ん…?なんだこの反応。  予定とは全く違った反応に、多少面食らうシェリー。  ――近い…。けどこの人、ほんとはとっても綺麗な顔してるんだ…。  そう思いながらユーリはじっとシェリーの顔を観察する。  綿毛みたいな真っ白な髪の毛で、肌も白くて、目は灰色?すごい…こんな人見た事ない。おっきーし…。  ユーリはそう思いながら、相手の頬に触れてみた。 「…っ!」  瞬間、頬に触れた手が離れて、ユーリは文字通り投げ捨てられた。 「わわっ!」  放り出されたものの、体術の心得のあるユーリはひらりと何事もなかったかのように着地した。  ――なんだこのガキ!?  それが率直な、シェリーからのユーリに対しての感想だった。  ――怯えもしないし泣きもしない、俺という生き物を奇怪だと思っているフシすらねぇ、全く淀みのない目で見つめてくる奴なんざ…。  先ほどのユーリの目を思い出して、シェリーはハッとなった。  記憶の彼方に置き去りにしていた、彼にとっては光のような「あるもの」を見た。  確かめるように、シェリーは向き直ってユーリを見据える。 そこには澄み切った、全てを真っ直ぐに映し出すような、青い青い海の色の瞳があった。  ――そうか、この目は…あの…  今一度ユーリを見て、シェリーは心の中で一人、確信した。            ××
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