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「テス・リナリア」
この世界には数々の不思議が存在する。
魔法や怪物、魔物の類なんてものが。
人間と人間でないものが共存する世界、それが「テス・リナリア」だった。
共存、と言っても仲良く手を取り合って生活している訳ではない。
人間は人外を恐れ、憎み、畏怖していたし、
人外は人間を疎みながらも、虐殺するでもなく無視していた。
互いが互いの干渉をしない事。
それは、この世界の創世の折に神々が取り決めた約束事なのだという。
従う義務や必要をこの世界に生きるもの全てが感じていたわけではない、けれどそれはこの世界の倫理、摂理となってこの世界で生きる全てのものの無意識下に存在するルールだった。
人間は人間の町や国を作り、人外は人外の町や国を作り、そのお互いの空間を干渉しあわない事で世界は成り立っていた。
だが、情勢は対等だったわけではない。
テス・リナリアの実に90%は人間のものだった。
何故か?
それは圧倒的な数の差にあった。
人間は数が多く、数の利において人にない力を持つ人外のものでも抗えないだけの抑制力を人間は持ち合わせていた。
加えて、人間達は人外達を追い払うだけの力までもを持ち合わせていた。
魔法の力がそれだ。
本来人外の持つ力である魔法の力を人間は歴史の中で我が物とした。
道具を使う事により、その力を人間でも利用できるようにしたのだ。
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