あんたは今日から私の奴隷なんだから

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そんな疑問を抱いているとアリスが徐々に減速していき最後には止まってしまう。 「どうした?」 信夫がアリスの前方を覗き込むようにして尋ねる。 「シッ・・・ 近いわ・・・」 アリスは顔をこちらに向けて口元で人差し指を立てると静かに歩き始めた。 「こんだけ微弱な魔力しか探知できないってことはクレイドールか? 本当これだから雑魚は・・・」 アリスがうざったそうに呟く。 どうやらアリスはその“魔物”を探していたようだ。 「なあ、 クレイドールってどんなやつなんだ?」 苛立ちを隠そうともしないアリスのカンに障らないようにそっと尋ねる。 「えっ? ああ昨日のあれよ昨日の。 最下級層の魔物。 あんたを殺した張本人。 まぁ当然別固体だけどね」 アリスは歩みを止めこちらを向く。 「そんなやつに俺は殺されたのか・・・」 なんだか途方もなく虚しくなる。 「そうゆうこと。 む!! 多分この辺ね・・・」 アリスは踵を帰し廊下の突き当たりを曲がる。 信夫も後に続くとそこには昨日と同じ怪物が佇んでいた。 しかも昨日のように暗くないのでその全貌が見て取れる。 人型ではあるがその質感は粘土のようでそれが植物の根のように捻れている。 また体の至る所に黒い刺が生えていて顔には縦に開いた奇妙な口がひとつだけあり鋭い歯のようなものが覗いている。
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