プロローグ

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力を振り絞り怒鳴り返す。 「うっさい!! 不細工に不細工つって何が悪いのよ!! ってそうじゃなくてあんた死ぬ気!?」 少女が売り言葉に買い言葉で怒鳴り返してくる。 「別に俺が何処で死のうと関係ねぇだろぉが!! ってか早く逃げろつってんだろ!!」 信夫が少女の方を向きそう言い放った後怪物の方に顔を戻す。 「・・・あれ?」 そこには怪物の姿はなかった。 「はぁ!? 何言ってんのあんた!! 逃げるのはあんたのほ――!!」 いまだに喚いている少女の方をうざそうに振り返る。 「!!!!」 信夫はようやく怪物を発見した。 少女はこちらに罵倒することに夢中で気づいていないが怪物が少女に向かって走っている。 「チィ!!!!」 信夫は軽く舌打ちをして少女に走り込む。 がしかしこれでは間に合うかどうか厳しい。 (間に合えぇぇぇぇぇ!!!!) 信夫は持っていたバットを投げ捨てさらに加速する。 「――えっ!? えっちょっ、 キャァァァァァ!!!!」 ここでようやく怪物の存在に気づいた少女は悲鳴を上げてしゃがみ込む。 (ザシュッ) 「――えっ?」 少女が顔を上げると信夫が抱き着くように身を呈して庇っていた・・・ (プシャァァァァァ) 信夫の背中から噴水のように鮮血が吹き出る。
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