たま

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小さい頃から猫がいた。 母がキジ猫が好きだったので大抵キジ柄で名前は「たま」というのが決まりだった。 母はよく猫を拾って来、「たま」と名付けていた。たまは一週間と たたずにもらわれてゆく。 それがひどく寂しかったことを覚えている。 ある時、小学生の弟が猫を拾ってきた。 拾ってきたというのは語弊がある。 塾の帰りに近道と小学校を通ったら子猫がついてきたそうだ。 弟が、どうしようと聞いてきた。 即刻、家にあげて自分の部屋でミルクやらイリコをあげた。 「どうするの?猫」 「内緒で飼おうか。」 うちに猫が長くいた試しがない。 犬がいるせいかもしれない。 「でも、バレたら怖いよ。」 子猫はガリガリに痩せていて、黒のシマシマ。アメリカンショートヘアーであることを後で知った。 今、この家にいるのは弟と私だけだ。両親はまだ帰っていない。
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