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彼は「部長にはメールしたから大丈夫。」と言い、友達の和の中に戻っていった。
どちらにしてもそのうち同じ仕事をしなくちゃいけないんだし、いつまでも避けられる訳じゃない。
大体、よく考えれば嫌いな訳じゃないし、苦手と言うほど関わった事もない。
私の偏見でしかないのだから、変に避けるのは失礼だ。
「もしかして本当にただの完璧君かもしれないし。」
「なにそれ?」
俯いてメールを打っていた恵里佳が顔を上げる。
「守谷君がもしかしたら、本当にただの完璧君かもしれないなーって言ったの。」
「完璧君って‥‥あんたセンスないね。でもまあいい機会なんじゃない?」
「いい機会?」
恵里佳はメールを打つ作業に戻りながら意味深な事を言う。
「清花はあんまり前にでるタイプじゃないし、人見知りだったけど今ではそうでもないじゃん?
だけど、香坂にはなんか胡散臭さを感じてるなんて珍しいし。
守谷と文化委員なんて目立つけど、守谷なら引っ張っていってくれそうだもんね。」
「なにそれ?」
「親心だよー。清花の低いコミュニケーション能力を守谷で勉強したら良いかなって。」
恵里佳が私を心配してくれるのは有り難いけど、なんだか複雑な心境になり眉間に皺を寄せて頬杖をついた。
「もう大分高くなったもん。一年の頃とは違うよ。恵里佳のおかげで。」
「あの頃はそれはそれで可愛いかったよ。手間かかったけどー」
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