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「香坂君、どうし‥‥」
「香坂ー久しぶりだな」
出店用の提出用紙を取りに行っていた守谷君が、香坂君を見て嬉しそうに笑いながら戻ってきた。
話しを聞くところによると、2人は2年で同じクラスだったらしい。
バスケ部の守谷君と美術部の香坂君は、夏合宿でバスケ部と美術部が同じ宿舎を使用するなどする関係で、以前から交流も多く仲がいいようだ。
「守谷もうすぐ引退だろ?
文化委員なんて忙しくて大丈夫なの?」
「まあ大丈夫だろー俺要領いいし?」
「そんな事言って、菊池さんに押しつけるなよ?」
香坂君はいつものようにさり気ない気遣いを含んだ一言をさらりと言って私に目配せをした。
私は笑顔だけを返しながら、
こうして見ると2人は対照的だな‥‥とぼんやり思い2人を見比べてみる。
明るい癖のある髪に線の細い綺麗な顔立ち、その割にバスケ部なだけあって細いながらも筋肉質な長い手足の守谷君。
それに対して、香坂君は背が高く意志の強そうな眉。黒髪は短くワックスでセットされ、黒い太縁の眼鏡がアート系な雰囲気を醸し出していた。
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