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「いや、嫌いってわけじゃ」 苦しい言い訳も出てこない。 もう少しマシな答えを返せないだろうか。 「菊池さんってさ、なんか正直だよね。いろいろ」 どうやら相当顔に出てしまっているらしい。 「‥‥ごめんなさい」 「いや、良いんだけどさ‥って良くないな。 何か菊池さんに嫌な事したっけ? そうじゃないなら、何でか教えて欲しいんだけど」 バレていたなら当たり前の反応。 「ただの偏見です」だなんて言えない。 むしろ散々胡散臭さいだの何だの言っていたけど、こうして真っ直ぐに聞かれると、自分がとんでもなく小さくて駄目なように思えて一気に恥ずかしくなった。 「あの‥‥本当にごめんなさい。 嫌な気持ちにさせちゃったよね?」 「そうだな」 「‥‥」 「‥‥」 やっぱりちょっと挫けそう。 「それで?何が原因なの?」 「‥‥それ、言わなきゃだめかな?」 「って事は何かあるんだよね?」 ドツボにハマるっていうのはこういう事を言うのだろうか。 彼はどうやら話すまで退いてはくれなさそうだ。 伸びかけた前髪の間から綺麗な目が真っ直ぐ私を捕らえている。 恵里佳助けて‥‥「だから言わんこっちゃない」と呆れ顔の恵里佳が目に浮かぶようだ。 「工藤は助けに来ないよ。さっき部活に行ってたから」 どこまで私は顔にでてるのだろう。 驚きで目をみはると、彼は意地悪そうに薄く笑った。
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