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どうにかして言い訳を言わないと彼は納得してくれなさそうだ。 でも、さっきから失敗続きの私には上手い言葉が見当たらない。 いっそのこと言ってしまおうか。 「完璧過ぎて胡散臭さい」だけだと。 ‥‥‥‥‥‥‥ 「‥‥ふっ」 「えっ?」 異音に目を上げると、明らかに「笑いを抑えてます」というように歪んだ口元を抑えた彼と目があった。 「ちょっとごめ‥‥」とそのまま廊下の真ん中にしゃがみ込んで、気持ちが良い程思いっきり笑い出した。 「‥‥百面相」 「百面相?」 「百面相ってこういう事言うんだなって」 多分、私は今怖い顔をしてる。 「菊池さ、鏡持ってないの?」 「‥‥持ってません」 何とか無表情を装うが、すでに笑いの箍が外れた彼には通用しない。 「写メとらせて?」 「イヤです」 「なんで?いいじゃん」 「本当にイヤです」 百面相ってワード久しぶりに聞いたし。 とかなんとか突っ込みたい気持ちになったが、何とか笑いを抑えた彼を逆撫でするような真似をしないほうがよさそうだ。
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