ゴシックNo.99のようです

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―――――― 『こちらVIP市郊外〝切り裂きクラレッタ〟による――』 『〝クラレッタ〟は女子高生を――』 『スカートの裾をベルトで縛るという奇怪な――』 リモコンの赤いボタンを押し込む。 羽虫が舞うような音を発て、手にしたそれの正面に佇むブラウン管の電源が切れた。 (-_-)「…捕まらないか……」 四方八方と跳ねた黒髪を撫で下ろし、インスタントコーヒーを口に含んだ。 甘さが足りない。 子匙4杯分の砂糖を加え、再度黒い液体が入ったマグカップに口を付けた。 (-_-)「授業…めんどくさいな…」 甘苦い芳香を吐き出し、思考を巡らせるは、今年の夏休みのこと。 ――巷で話題の奇妙な殺人鬼。 女子高生を鋭利な刃物で斬殺した後に、スカートの裾をベルトで締めるという奇怪な犯行を繰り返す通り魔。 通称〝切り裂きクラレッタ〟。 なんでも、独裁者の恋人から名を取ったらしい。 (-_-)「迷惑だ…」 そのクラレッタという殺人鬼が、僕の住むVIP市ラウンジ区で犯行を行っているものだから、大事な高校生活が滅茶苦茶だ。 今日で、1週間も休校になっている。 大して学校に愛着が無い僕からすれば、喜ばしいと言えば喜ばしい。 しかし、その分大切な夏休みが潰れるのであるから、プラスマイナス0――いや寧ろマイナスだ。 (-_-)「暇だ…」 呟き、パソコンを開く。 ――閑暇な昼下がり。 1人きりの家の中。 キーボードの音が、滑稽な程に良く響いた…。 ――ゴシックNo.99のようです
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