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「んじゃ赤髪君に面白いもの見せてやろうwwwww」
悪戯をしようとする子どもの様な笑みを浮かべ、レイは右手を大きく広げる。
クレアやコウヤ達は何が起きるのか固唾を飲んで見守っていたが、次の瞬間には、それは息を呑む行為に変わった。
「「じゃじゃじゃーんwww」」
レイの広げた腕に収まるかの様に、もう一人のレイがその場に立っていたのだ。
クレア達は幻術を見せられたのではないかとも疑ったが、それを見越していたかの様に、クラスの生徒全員の肩が同時に叩かれる。
「「「「「う、うわああああああああああああああああああ!!!!」」」」」
振り返った先には、先ほど二人に増えたはずのレイが、クラス全員分の人数にまで増加していた。
中には驚きのあまり気絶してしまう生徒もいたが、それに対応するかの様に、レイの内の一人がそれを支えた。
クラスのほとんどの人間が驚きのあまり、慌てふためいてるのを横目にクレアが自分の目の前に立つレイを見つめる。
すごいな……。感じる限りでは、魔力を元にした人形っぽいが……それがこんなにも精密な動きをするなんて。
自分には真似できない芸当だ、と素直に思うクレアだったが、頭の中ではレイにどうすれば勝てるのかをシミュレートする。
この果てなき向上心こそ、クレア・フォーリスなる所以なのだろう。
しかし、クレアの前に立つレイはその気持ちを知ってか知らずか、隣の窓を笑顔で指差す。
何だ?と思い、クレアがそこから見える闘技場の方に目を向けた時、今日一番の驚きがクレアを襲った。
な、な、何人いるんだ?
その視線の先には、闘技場であるはずのフィールドが数え切れない程のレイに埋め尽くされているのが映った。
「新訳の続きが見れずに逝ってしまったのは残念だなwwwww」
「いやいやバッカー●でしょうwww」
「それよりガモス4Vの勇姿が見れなかったのが残念ですぞwwwww」
「男は黙ってヤーマンダですなwwww」
フィールドにいるレイ達が思い思いの会話をする中で、他のクラスからもざわめきが起こる。
大方、フィールドの惨状を見たのだろうとクレアは判断するが、クレア自身も驚きを隠そうともせず口をあんぐりと開けていた。
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