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――――時は少し遡る。
その日の最後の授業が終わり、クレアが身支度をしようとした所で担任であるスーが教室に大量の紙を手に抱え入って来た。
普段、授業以外は顔を出さないスーが入ってきた事に生徒達は訝しげな視線を送るが、スーはそれを気にすることなく周囲を見渡し
「模擬戦の対戦相手決まったから、呼ばれた奴ら取りに来ーい」
いつもと変わらない声音で生徒達に呼びかけた。
生徒達の反応は様々なものであり、コウヤやファースといった実力者達は興奮した様な笑みを浮かべ、逆に成績の良くない者達は嫌そうな表情を浮かべる。
無論クレアは前者の反応であった為、力無き者達に恨みがましい視線を向けられる羽目になった。
だが、そんな事はお構いなしにクレアの心は晴れ晴れとしていた。
これでまた自分がどれだけ高みに登れたのかを確認出来るというものと、フォーリス家の威光を蔑ろにする人間へと再確認させる機会になると思ったからである。
「……クレア」
しかし、スーがクレアを呼ぶ声は対照的にどこか申し訳なさそうな声音であった。
ん?まさか、俺に釣り合わない様な生徒が戦うのか?
疑問に思うクレアであったが、その考えは半分当たっていると言ってもいいだろう。
そのままクレアがスーから貰ったその紙上には
第二試合 ミーナ・リンク
第四試合 レイ
との文字が記されていたのだから。
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