転校生

13/13
16786人が本棚に入れています
本棚に追加
/656ページ
クレアは闘技場で剣を振るいながら、思考することを止めない。 ――ミーナと戦えるのは願ったり叶ったりだ。あいつはムカつく女だが、実力的には五大貴族の名に恥じないからな。 ……しかし、レイ。奴に勝つビジョンが全く浮かばない。 だが、泣き言ばかり考えてる程クレアは弱い人間ではなかった。 ――まずは、グロムの試合を見てからだ。レイの戦い方なんざ今の俺には全く見当もつかないし。 そう。レイと戦うのはクレアだけでなくグロムもだった。 クレアがすぐにグロムへと対戦相手の報告をしに行った時に、グロムも楽しげな声でクレアにそれを報告したのだ。 「せっかく何だからよ!!Sランクらしいし胸借りるつもりでいくぜ!!」 グロムが言った言葉を思いだし、口角をあげるクレアだがその手は休まる事はない。 ……そうだな、胸を借りるつもりでもいいだろう。だがそれ以上に、俺は勝ちに行くつもりだぜ!! ひゅっ、と、クレアが剣を横に凪ぐ様に振ると、そこから衝撃波が闘技場の床を深くえぐり取った。 岩を削る様な音と共に衝撃波は勢いを消す事なく、壁へと突き刺さる。 その跡は一つだけに留まらず扇の形を描くように、五つの跡を残していた。 「……調子がいいな」 クレアは額から流れ落ちる汗を袖で拭いながら言った。 魔法が発展した世界でも剣の貴族であるフォーリス家が上流貴族としていれるのは、この剣技があるからだろう。 一の閃 白虎
/656ページ

最初のコメントを投稿しよう!