プロローグ

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「はぁーい、どうぞ」 ソファに座っていた千代がドアの方を向いて、招き入れようとしたところであることに気付く。 この部は殆ど部としては成り立っていない。稀に心霊関係で相談してくることがあるが、稀なのである。よって、ここに人が来ることは殆どない。それに唯一来るであろう貴はノックをしたりしない。 ――じゃあ、誰だ? そんなことを千代が考えている内にドアは開かれ、一人の千代と同じセーラーの女子が中に入って来た。 「あのー あっやっぱり山本先輩!」 パァと明るい表情をした声を上げて、そこにはいた。髪は黒煙に染まり、少しふわりとウェーブがかかった髪が肩にギリギリかからないところで丸まっている。 「あぁー菊治さん、珍しいね。こんなとこ来るなんて」 彼女の菊治怜香といい、千代の新体操部の後輩である。千代は彼女にはよくお世話になっていた。 例えば…顧問とセクハラ紛いのことをして、ケンカになった時に仲裁に入ったりなど……千代は顧問が悪いと言い張っているが、それはどちらかわからない。
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