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これには縁も機嫌を悪くし、精一杯作っていた笑顔が徐々に引きつる。
「なんだ、今時の小学生は自分の名前も言えないのか。ゆとりとはよく言ったものだな」
「誰が小学生ですって!! いいわ、あたしが魔法を使えるようになったら真っ先にあんたにくらわせてあげるから、覚悟してなさい!!」
「いいぜ、だったら俺もお前にくらわせてやるよ」
お互いが声を張り上げて相手を威嚇する。
二人の会話は教室内では良く響き、周りの生徒達の視線を一気に集めた。
しかし二人はそれに気づいていない。
「はいはい、元気があるのも魔法に対する意欲があるのも良いことですが、無闇に人に向けて使うのは校則違反ですからね」
縁と少女を含めた全員の視線が凛とした声の主のほうへと移る。
視線の先は教壇。
そこにはまだ若く見えるが、どう見ても大人であろう爽やかな容姿の男が紺色のスーツを着て立っている姿があった。
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