プロローグ

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 いやスリランカだったかな、とつぶやいて視線をまた手紙に戻す。 『縁君も春から高校生ですね。 そうそう、そういえば大事なお話があるんです。 縁君の行く高校は母さんの知り合いがいる星輪学園に決めました』 「……って、はぁ!?」 咄嗟に声をあげる。 あまりの驚きに思わず手に力が入り、手紙の握っていた部分がクシャクシャになってしまった。 「いやいや、何勝手に決めちゃってんの。俺はちゃんと受験して受かった北央(ほくおう)高校に行くつもりなわけで……」 自分の進路を再認識しながらも、少年は手紙の続きに目を走らせた。 『星輪学園の魔法教育は国内でもトップクラスです。 きっとしっかりと魔法を使えるようになるでしょう。 手続きはこっちでしておきます。母さんの母校で縁君も頑張ってください』 しかし、認識と事実の食い違いはたしかに起こりつつあった。 「勝手すぎるし報告遅いわ!!」 驚きから怒りに変わった感情が抑えきれず、最後まで読み終えた一枚目を投げ捨てる。
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