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宿に着いて受付で青年は、当たり前のように自分の分だけ支払った。
「あれ、後ろの方はご一緒じゃないんで?」
「あ、一緒で良いです」
また翔狼も当たり前のように二人部屋を取った。
青年は久しぶりに他人を本気で殺してやろうと思った。
夜を迎えた。なんだかやたらと疲れた気がする。
いや、疲れているのだ、と青年は腹でぶつぶつと考えていた。
よく見れば、翔狼の少しばかり撥ねた髪は白銀で、光に当たると角度によってきらきらと光り、髪と対照的な人目を引く大きな瞳は黒曜石のような漆黒の瞳だった。こんな荒んだ世にも、ここまで真っ直ぐで美しい人間がいるものだと、不覚にも見とれながらそう思ってしまった。相当自分は疲れているのだと青年はさっさと布団へ潜った。
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