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ここは源 洸(みなも こう)の寝室、
窓からさしてくる暖かな光。
ベットに横たわるこの部屋の主はまだ眠さが残っているのか「う~ん」と唸って重い瞼をゆっくりと開ける。
寝ぼけているのかまだ少し目の前がはっきりしない。
けれど手に伝わる自分のものではない暖かな温もりと可愛い寝息に心がやすらぐ。
まだぼやけている目をもう一度閉じ、その温もりを感じとる。
この温もりの正体は私の可愛い妹だ。
今年で3歳になる妹。
歳が13歳も離れているせいか私はこの妹が可愛くてしかたがない。
学校から帰って来た私に、「おかえりぃ~」と抱き着いてこられたらもうたまらなく可愛い。
極度なシスコンであることは自覚している。
…とそんなことはどうでもいい。
抱き着きたい衝動に駆られ、そっと妹を抱き寄せた。
自分の手がやわらかな髪に触れる。
そう、この触り心地のいいふわふわな猫っ毛は―――。
あれ、猫っ毛?
私の可愛い妹ちゃんはサラサラストレートのはずだぞ?
不思議に思い、私はまだ少し重いまぶたを開けてみた。
…抱き寄せていたのは金髪猫っ毛のちいさくはない頭。
え…。何この髪の色…私も妹も純日本人なんだが…
あー、うーん…あれか。
私の知らないうちに成長したのか、いろいろ。
うん、そうに違いない。
私は冷静にそう分析し、もう一度寝る事に――。
……ってできるかああぁぁあああっ!!
なに考えてんだ私!?
なんだよいろいろって!なんだよ冷静に分析って!
明らかに違う人(?)の頭だよコレ!
軽いパニックになっているが、寝ていたベットから飛び出した。
「…なにがどうなって――」
硬直。
聞き慣れない低い声と自分の発した言葉が重なっていたことに驚いた。
少しの間時間が流れる。
「……あーうー…」
適当な言葉を発してみたがやはりその声と重なる。
私の声…?
頭の中でそう察知していた。
「なんで…」
そう、明らかにそれは自分の口から発せられている声だった。
ハッとして自分の胸に手をあてた。
ちょ…!
かたい胸板。
女の子にあるはずの胸の膨らみがない。
ペタペタと何度も触るが明らかにない。
「どおぉなってんのおおぉぉっ!?」
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