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着いたら理事長に行けと言われた。が、俺が人間の命令に従う義務はない。だから俺は寮へ直行することにした。
「羽橋様が…。」
「帰って来た…!」
寮に向かう途中で俺を見た生徒が次々と驚き、嬉しそうに声を上げる。
人間が俺を慕うのは当然だ。なんてたって大悪魔だからな。
そんなこんなで自分の寮部屋の前まで良い気分で着くことが出来た。これからが大変だ。このドアの向こうには乱暴で無礼な奴がいるのだ。
ごくりと唾を飲んでからドアを開けた。
中から飛び出した拳が勢いよく俺の右頬をかすめた。
俺の同室者である佐伯碧-サエキ アオ-だ。青い髪と青い目が特徴のイケメンである。
「時雨てめぇ…。よくも俺に黙って出て行ったな…?連絡もなしに…。」
「どうして人間に俺の行動を教えなければならない?」
するとそいつは凄い形相で睨みをきかせた。
「時雨、痛い目見ないとわからないのか?」
こ、怖くなんてない。人間に恐怖を覚えるなどあり得ない。
「…俺の能力に勝てると思うのか?」
これくらい無知な人間でもわかるだろう。
「お前こそ俺に勝てるのか?」
「…無駄な争いはしない主義だ。」
俺はそう言って碧の横を通り過ぎた。
まぁ、俺にかかればこんな奴瞬殺だが、無駄な血は流したくない。
…本当だからな。
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