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痩せ細った犬達が突然、まるで死にかけた子供が母親や兄弟に助けを求めて喚いているかの様な声で一斉に吠え出した。
今度は翔狼が驚いて後ずさった。
いつの間にか青年はいつもの静けさを取り戻し、恐怖か驚きで吠え続ける犬達を優しく撫で、落ち着かせていた。
「お前も、こいつらの言葉がわかるのか?」
「あ、あぁ。」
翔狼も一つ深呼吸をして落ち着き、突然ごめんよ、と犬達に謝った。
少し青年達のほうに近づき、その場に腰を下ろした。
「お前、はくろうっていうのか?」
青年は翔狼の方を見ずに犬達ばかり見ていた。しばらくその質問には答えず、まだ小さく吠えている犬達をなだめていた。やっと犬達が落ち着き、青年も質問に答えた。
「…そうだ。」
「そうか、はくろうか。どういう字を書く?」
翔狼の質問に少しはくろうは考えていた。
「…王に…白に、狼。」
「王に…白…??」
どうやら翔狼には分からなかったらしい。
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