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そばにあった木の枝ではくろうは地面に名前を書いた。
「あぁ『珀狼』か。奇遇だな、同じ狼という字を使うのだな。」
珀狼は頷いた。やっと名前を知れた、と翔狼は嬉しそうに歯を見せて笑った。でも珀狼はどこまでも無表情だった。元々、感情を表に出さないようだ。
「これでもう、付きまとう理由もないよな?」
珀狼が大きく伸びをしながら言った。
「いや、もっと珀狼のことが知りたい!」
一瞬、伸びたまま縮めなくなるんじゃないかと珀狼はどきりとした。
「………」
嘘だろ、と力なく空を仰いだ。
翔狼は子供のように目をきらきらと輝かせていた。
「珀狼といれば、探しているものが見つかる気がするよ。これからもよろしく!」
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