狼記物語Ⅲ-1

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「ここで暴行があって、こいつが刃物までだして、殺そうとまでしたから…その…。」 「なるほどね、だから死神って言ってたのか。」 珀狼が不思議そうに翔狼の方を向いた。相変わらず目は閉じたままだ。理由は分からないが。 「さっき、ここの脇道から男が一人出てきてね。その人が言ってたんだ。」 「………」 「気にすることなんてないさ。きっと気が動転していたんだよ」 帰ろう、と翔狼に促され珀狼も後に続いた。 でもなんだか死神、という言葉を聞いたとたんに珀狼が落ち着きをなくした様な気がした。
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