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「おーい!そっち行ったぞぉ」
「逃がすなよぉ!囲め囲めぇ」
夏草のしげる小さな公園。小学校の裏にある団地の子供達は年下年上なんて関係なく、皆してつるんで遊ぶ。
「追い詰めたぞ!!」
「はぁはぁはぁ」
息継ぎが精一杯の少年の前に、立ち塞がるのもこれまた少年達。
「お前学校でもいじめられてるんだってぇー?」
「団地でもいじめられてるのにかっわいそーな奴ぅー!」
「あははは!馬ー鹿!」
「ぅうう…」
今にも泣き出しそうに、膝を抱えて小さく体を丸めた少年。黒いランドセルはくちゃくちゃにシワが入っていて汚れている。
そんな少年を見下ろしながら、最年長と思われる男の子が言った。
「あの女は、今日は居ないのか?」
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