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いつものように、パンを盗み 、裏路地に潜む。
すると、目の前を人の行列が 通る。
………人身売買だ。
この町の裏は無法地帯。
麻薬も奴隷も、もちろん銃だ って流通している。
…まぁ、所詮は金持ちの道楽 であり、ものを買う金なんて 持ち合わせてない少年には無 縁の話だ。
いつものように路地を出て行 列とすれ違った瞬間、彼は目 を奪われた。
居たのは、目が覚める程美し い少女。
髪はブロンズ、双眼は見事な 碧眼で、整った顔立ちと身に 着けていた衣服は対照的だっ た。
少年はその場に立ち尽くし、 少女の背中がでかい屋敷に吸 い込まれるまで見つめていた。
その屋敷には誰が住んでいる のか、孤児である少年は知り もしなかった。
「少女の行き先知りたい?」
路地から響く細く、高い声。
少年はとっさに後ろを向いた。
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