うめてあげる。

6/15
前へ
/95ページ
次へ
「・・・・・。 どこにいんだろ・・・・。」 机の上でぐりんと頭を右斜め前に向ける。 そう、そこはカレの席。 まだ、黒くてぺったんこな学生カバンが、だらりとだらしなく机の横にかかっている。 「なんか・・・似てる。」 カレのだらりとした制服の着くずし方を思い出す。 た、た、た、たん。 「――あれ、咲ちゃん?」 「―――!! さ、さなちゃん・・・・・」 夏の教室、開け放たれたドアの枠の中に、突然姿を現したのは、 ―――もう一人のサナエちゃん。
/95ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加