私立千華女学園

11/21
前へ
/70ページ
次へ
  寮には入学式前日に引っ越している だから、今日も美紗と寮から登校した 「今日、智紗の部屋にいってもいいかしら?」 その質問に美紗と目を合わせた 部屋に呼べば、また男だとバレる可能性が高まる けど、断るのは奈々子にも悪い ……いつか通る壁だ。それにバレそうだからって断ってばかりすればいつかは疑われる 春から母さんによって仕込まれたんだ……一人称がわたしに自然になるまで これから、男だとバレるとか気にしない そのときはそのときだ! 「いいよ、ぜひ来て」 「ありがとう」 お礼と共に首を傾けながら笑った 束ねてある髪が揺れ、顔立ちの良い奈々子の笑顔を見て、不覚にもドキッとした 「わたしも行って良い?」 「もちろんいいよ」 不測の事態の時のために美紗がいてくれると助かるからね 「そろそろ終わりよ。HRを行うのでみんな席に座って」 「じゃあ夕方頃遊びに行くわ」 そのまま奈々子は前を向いたので、僕もしっかりと前を向き直した
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加