プロローグ

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 嗚呼…行ってしまった。    何がいけなかっただろう。何を分かっていないと言うのだろう。  分からない…イクセルが何を考えているのか分からない。  何を背負っているのか分かってあげられることができない。  最後に彼は何を伝えようとした?  同じ町で育った親友として、イクセルを理解しているつもりだった。  しかし、本来は何ひとつ分かっていなかった。  そんな自分に苛立ちを感じたトリーシャは拳を握り締め、涙を堪えた。  トリーシャの悲しみを代弁するかのように、霧に覆われた空から雨粒が降り注いだ。
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