プロローグ

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 それから半年、生まれ育った町に戻り、そこで暮らした。  しかし、そこでもロックフォードの名を聞けば、好奇に満ちた目で人々はイクセルを見る。  トリーシャを除いては。  でも、自分を信じてくれるトリーシャの優しさに甘えていてはいけない事に気がついた。  だから確かめなければいけない。  アルトナ=ロックフォードとの関係を断ち切らなければ、自らの平穏は訪れない。  それが、大切な友達を裏切る事になっても…イクセルにはやらなければならないことがあった。 (最悪だな…)  何も分かっていない、なんて…辛い言葉を投げかけられてトリーシャは、悲しんだだろうか。  それとも怒っただろうか。 (分からなくて当然だ。僕だって何も分かっていないのに、あんな当たり方をして…)  だが、すぐに首を横に振った。 (いや、いいんだ。これで危機が免れるなら…根本的なものを断てば、解決する筈なんだ)  そう自分に言い聞かせる。 「解決はしませんよ」  か細く小さな声にイクセルは顔を上げた。  絹糸のような長い銀髪、深紅の宝石の如く美しい瞳…背の小さな人形のような色白の少女がイクセルの目の前にいた。
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