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三人は先程まで、同じ教室で一般基礎学の授業を受けていた。
なのに、長太郎ひとりだけ戦闘技能を養うための防衛基礎学用の訓練服を着ていたので、想一と善司は疑問に思ったのだ。
「長太郎。一体、どこ行く気なんだよ」
「どこって? そんなの決まっているだろう」
長太郎は腰に手を当て、もう片方の手でこれから彼らが行く先を指差した。
「おれたちは戦争に行くんだ!」
謎の自信たっぷりに言い放つ長太郎に対し、善司はため息をひとつ吐いて「違うよ」と否定する。
「いくら、ぼくらが普通の中学生じゃないからって、授業終わりに戦争には行かないよ。行くのは、イザ――」
「戦争か。あながち、間違っちゃいないね。その表現は」
「え?」
言葉を途中で遮られた善司が横を向くと、想一がうんうんと何度もうなずいていた。
「人生はゲームだ」
「?」
「そこで今日はみなさんに、ちょっと殺し合いをしてもらいます――みたいな」
想一はズレた眼鏡をくいっと直し、不敵に笑う。
「これから、おれたちは昼食をかけて熾烈なバトルロイヤルに挑むんだから」
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