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冬の雪降る日、俺はせっせと荷物をトラックに積んでいた。
俺は父さんの仕事の関係で今いる土地を離れなければならなかった。
湊~、まだぁ?
ちょっ、姉ちゃん待ってっ!
姉、心愛(ココア)に急かされながら俺は家とトラックを行き来していた。
姉ちゃんは高校三年生、俺は高校一年生。
姉ちゃんも手伝ってよ!
あたしはトラックで荷物を整理してんの。まさか湊、女の子に重労働させるつもりなの?
ドヤ顔でけなされた…。
わかったよ、もう…。
よしよし、湊は偉いねぇ。
と言いながら頭を撫でられる。
かなり恥ずかしい…。
姉ちゃんはこういうことを平気でやってくるのだ…。
ね、姉ちゃん、恥ずかしいからやめてよっ!
はいはいっ。んじゃ、よろしくね。
いつも姉ちゃんは俺を子供扱いする。
でも、そんな姉ちゃんが嫌いになれかった。
よし、湊、これで最後だぞ。
父さんから荷物を受け取り、最後の力を振り絞る。
湊、頑張ってね。
母さんからの励ましもある。
だが俺は、
母さん俺より小さいからしかたないよ。
と、皮肉を言った。
あ、湊ぉ…ねぇ、とも~。
湊、母さんをイジメちゃダメだろ!イジメていいのは俺だけだ!
親指を自分に向けて自信満々に胸を張った。
もうっ!とも嫌いっ!
いやいや嘘嘘!嘘ピョーンっ!
母さんに一撃でやられた父さん…情けない…。
父さんの名前はともひろ、母さんはゆめみと言う。
たまに父さんはゆめぇと呼んだりする。
我が両親ながらバカップルだ。
姉っちゃんっ!ふぅ、これで最後だって…。
俺は勢いよく荷物を置いた。
はい、ご苦労様。よいしょっと…
わわっ!
荷物を持ち上げた姉ちゃんのおへそが見えた。
ん?
姉ちゃんはキョトンとしている。
まったく、油断大敵っ、て言葉知らないのかなぁ…。
二人とも、ご苦労様。あとは俺に任せといて。
父さんと母さんだ。
はいはぁい。湊、トラックの中で遊戯王やろ!
また姉ちゃん負けるぜ。
言ったなぁっ!絶対勝つ!
こんな感じで一日が始まった―――。
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