01

2/14
前へ
/22ページ
次へ
「ねぇ、鈴?」 ――お昼休み。 お弁当を用意しているところで、友達の由香里に声を掛けられる。 「なぁに?」 用意する手をとめ、由香里に返事をする。 「好きな、人……いないの?」 ああ……その手の質問か、と少し思った。 「……いないよ?」 間があいてしまったのは――多分、秘密のせいだろうか。 「本当ー? 鈴いそうー」 「いないってー!」 新学期に新しく仲良くなったから、面倒だな――そんなことを少し考えてるけど、勿論言わない。 「ふーん?」 「もぉー、何? その目ーっ」 「でもねー、鈴ってモテるんだよ?」 「えー、ないよー!」 ――こういう話、女子って好きだよなぁ──そう思ってしまう私は女子失格なんだろうか。 「ふーん……」 納得のいかない、そんな目線で私を見つめる由香里。 そのあと、そんな話をしながら2人で昼食を食べていた。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加