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すると、学校中にチャイムが響き渡った。──予鈴、か。
「ほーら、由香里ー。帰りな」
「えー……早いよー。鈴の噂、もっとあるんだよ?」
そんな文句を言って退こうとしない由香里。
「じゃあ、あとで聞くから。ね?」
「はぁーい……」
文句を言う由香里を宥めて私は次の授業の支度を始める。
時計は1時過ぎを指していた。────そろそろ……かな。
そう思った瞬間、制服のスカートに入れておいた携帯が着信を告げる。
私はそれを、由香里にばれないようにこっそりと取り出し、慣れた手つきでいじる。
そして、受信ボックスを開く。
「……やっぱり」
誰に言うでもなく、小さく呟く。
内容はいつもと同じ──────
【いつもの時間に待ってる】
ただ……それだけ。
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