1人が本棚に入れています
本棚に追加
/45ページ
「死体はどうするんですか?」
「三番隊が小屋ごと保存」
「今すぐにですか?」
「ああ」
「じゃあ今日は…」
「歩は残る」
「他の人は?」
「ほぼ帰る」
そう言って踵を返し、もの音立てずに去っていく風鍔さん。
父さんのあの扉を使って春菜達がこなかったから帰りは徒歩なのか…。
ほかの移動系の人が居ても良さそうなんだけどな。
「こんくらいなら報告書とか読むのでも良いことだっつーの」
忠が軽く愚痴る。
「すっかり日もふけちゃったしね。
でもまあ、しょうがないんじゃない?」
地平線付近がまだオレンジ色だが、空の大半を深い青が占めている。
星はまだ見えない。
蒸し暑さはまだ残ってはいるが、だいぶ過ごしやすい。
鳥の声に代わり、虫の声がうるさいほど台頭してきている。
「忠、一応歩さんに誰々を帰すのか聞いてきてくれる?」
「へいへい」
元さん達は……まあ、いいか。
そのうちなんとかなるだろう。
そういや、闇夜が甘く見られないために、棗さんに協力を求めることに対して、許可が出ない可能性があるのか。
『初代が居なきゃどうにもならない』
そう言われないために。
と、駆けていく忠の背中を見ながら考えていた。
最初のコメントを投稿しよう!