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そして男は考えた。
どうせ仕事は見つかりようもない。
このままここで飢え死にするか、人の道を外れ盗人になるか。
「よし、盗人になろう!」
即決だった。
「確かこの中に婆さんが居るんだったかな?早速、追い剥ぎに行くかー」
なぜ物語を知ってる!?
ともかく男は羅生門の上を目指し、はしごを登って行くのだった。
はしごを登って行くと羅生門の中の天井にユラユラと動く明かりがあった。
「よしよし、居るな」
不適な笑みをこぼす男はそおっと中を覗いた。
中には確かに死体が転がっており、その数は数えることができない。
死体の腐乱した臭気に、思わず男は鼻を覆った。
だが、次の瞬間、そんなことも忘れてしまいそうな景色が男に飛び込んだ。
死体の周りでうごめく一つの影。老婆だと思っていたその姿はなんと、二十歳前であろうという青年だった。
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