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「悪い、広樹、今日はそばにいてあげられない」
広樹はまた泣きそうになる。「トイレ―」
(トイレ―?)
俺は1階のトイレに走る。広樹はまだ自分でトイレが出来ない。近いうちに教えなければいけない。俺は広樹のズボンとパンツを足首までおろして、うしろから抱える。
トイレを出て、右に行って曲がり角を曲がって2mぐらい歩くとレントゲン室だ。レントゲン室の前で黒澤が待っているのが見える。「黒澤―。頼む」
「はい」
広樹を黒澤に預け、俺は急いで2階にかけ登る。
213号室に入る。真奈は必死に咳をしていた。
「がんばれ。真奈」
だいぶ気管から血は出ているようだった。
「もうちょっとだ。がんばれ真奈」
真奈は俺の手をにぎりしめる。「最近具合い良かったのにな。検査しようか」
少しして真奈が眠りについた。俺は病室を出て、2つ離れた215号室に入る。
「どうした?」
咲はうつむいたまま何も言わない。「…気持ち悪いの…」俺は咲のそばに行く。「…気持ち悪いってどんな風に?」
そこで俺は異変に気付いた。「腕、見せてごらん」
咲は恐る恐る腕を出した。「副作用が出ちゃったんだね。お薬代えようね」
俺は湿しんの薬とカルテを取りに行く。
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