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午前の仕事が終わり、休憩室のソファーに座り込む。 「おつかれ」
木下がコーヒーを渡す。
「ありがとう」
木下は何か言いたげに、俺の隣に腰かける。
「おまえ、景子(けいこ)ちゃんとどんぐらいあってない?」
「…3ヶ月くらいかな…もっとか」
(…思い出せない。やばいなぁ…)
「泣いてたぞ、景子ちゃん」
俺はおもわず立ち上がった。「泣いてたぞ、ってあったのか?おまえ」
「この間、病院に来た。おまえ忙しそうだったから、景子ちゃん声かけられなかったって。景子ちゃんて人前で泣いたりしないだろ。それなのに泣くから、俺、どうしたら良いのか分かんなかったよ」
困ったように木下は言う。「厳しい顔してる、って言ってた。おまえ仕事中、すっげぇ厳しいからな。だから俺は「だらしない顔は、景子ちゃんの前でしかしないんだよ」って言った。そしたら「顔、ずっと見てない」って言うからさ…」
俺は何も答えなかった。
「木下、高太、会議の時間だよ」
藤巻(ふじまき)がドアを開けて言う。
「木下、ありがとな」
「いや…」
これから会議だっていうのに俺の頭は景子のことで一杯だった。
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