高太(こうた)編

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ふと目が覚めた。(…朝か?)「おはよう。よく眠れた?」俺は慌てて起き上がった。「景子…来てたのか?起こせば良いのに」 「疲れてるんでしょ?洋服のまま寝てるし」 景子は俺をみて笑った。 「あっ…」 俺は頭をかいた。 それから2人で顔を見合わせて笑った。 「御飯出来てるわよ」 「ありがとう」 「たくさん食べてね」 「あぁ…いただきます」 景子はじっと俺を見ている。俺は景子を抱きよせた。 そして、キスをした。 「御飯、冷めちゃうわよ。食べてからね」 そのままおしたおそうとした俺の腕をつかんで景子は呟いた。 「そうだな」 俺は笑った。 「忙しいのね」 「ごめんな」 俺は景子に何を言えば良いのか分からなかった。 「…どっか行くか?」 俺が聞くと景子は首を横に振った。 「抱いて」 小さいけどしっかりした声で景子は呟く。 俺はもう気づいていた。 景子が呟くであろう「さよなら」を。 抱いたらほんとうに全てが終わると分かっていながら俺は今日も景子を抱いた。
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