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景子にかけようと受話器に手をのばす。
「唐澤医師!咲ちゃん、発作です」
「はい」
俺は返事をして咲の病室に向かった。
「この間の検査結果を持って来て下さい」
薬を投与しながら俺は言う。「レントゲンもっと増やして下さい」
俺は渡された検査結果を見る。
「保温を徹底して下さい」咲が落ち着きナースに指示をする。
「唐澤医師、広樹くん泣いて注射出来ません」
「はい」
俺は返事をして広樹の病室に向かった。
病室に入ると広樹は手足をバタつかせて泣いていた。 「広樹」
名前を呼び抱きあげた。 熱が少し上がっている。 「痛いのやだーー」
「苦しいのは?良い?」
優しく聞く。
「やだーー」
「どっちのがやだ?」
「どっちもーー」
俺は広樹の顔を見る。
「痛いのちょっとだけだよ。これしたら、苦しくなくなるよ」
涙をふいてあげる。
「窓の外、見ててごらん。ーーーはい、終わり」
広樹の病室を出る。真奈の病室に行こうとしたら、今度は電話だ。ナースステーションで電話に出る。
高澤(たかさわ)だった。子供が熱をだして苦しんでるから来てほしいとのことだった。俺は院長に断り、高澤の家に向かった。
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