ICE1 サイコアイシング

2/3
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
 電撃引退会見VTRがマスコミから実況中継報道された当日、青年のアパート部屋に突如としてバカでかい氷塊が出現しだしたのであった。 「お茶会アイドルユニット、Tセレモニーズは永久に不滅です!!アタシもまだまだ現役のソロアイドルで頑張ります。みんな、アタシのこと、美津奈ゆりあを忘れずに……いつまでも応援してください!!」  涙ぐんでファイナルステージ引退宣言のVTRコマーシャルが、TVに何度も何度も繰り返し流れていた。  そんな中、縁太郎は、いつまでも溶解しない身長を半分にした大きな塊を捨てようとしてみた。  塊からなのか、天の声らしきこだまが、青年の頭の中を刺激した。 「お願いします。アタシの心を一時的に封印してください。アタシのダミーの身体との交際をお許しします。その代償として氷の塊と契約を交わしてください。お願いします」  こだまの声の主は、紛れもなく、先ほどまで引退宣言した美津奈ゆりあであった。 「ゆりあちゃんの声……でもなんでだ?」  再び頭の中をエレベーター内の耳なりみたいな元アイドル声がよぎった。 「契約不成立の場合は、氷の塊は、更に倍増し即溶けます。部屋が溶けた水で溢れたくなければ、どうかダミーと交際してください」  ゆりあの心が薄汚い部屋の中を占拠してくるものだからか、弱腰になった縁太郎は大した覚悟もなしに肯定しだした。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!