子供

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子供

 少し休もう。  君にはあまりにも重すぎる現実だった。  君は悪くない。何も悪くない。  何故、僕がこんな目にあわなくちゃいけないんだ。  何故、お父さんとお母さんは、あんな酷い事をしたんだ。  君は、そう思うだろう。  でもね、君の想いは届かない。  あの、薄汚れたどうしようもないアイツらには届かない。  アイツらは、盲目。何も見えないんだ。本当に大事なものが見えないんだ。  だから、少し休んだら、この場所から離れよう。  扉を開けたら、雨の匂いが君を迎える。  身体は濡れる。でも、君の心の傷を洗い流してくれる。  雨は悲しい。  雨は優しい。  そして、雨は美しい。  雨に濡れた君を、出迎えてくれる人は必ずいる。  さあ、外に出よう。  
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