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高校を卒業して、休みに入った妹と、俺の仕事が休みの日に、街に買い物に行くことにした。妹と出掛けるのは久し振りで、照れを隠すのに必死だった。
妹は、大きめの旅行バッグを買い、洋服を買い、派手な水着を買った。俺の持ち物も妹が選んでくれた。全ての荷物を持ち、歩行者天国を二人並んで歩いた。そこで俺は妹にずっと前から思っていた事を訊いてみることにした。
「なあ。南の島ってどこなんだ?」
「えっ?」
「だから、どこの国で、どこの島に行くつもりなんだ?」
「わかんない。とにかく、南の方にある島だよ」
「お前、まさか──」
「いいじゃん、別に。二人で行けば、どこだってパラダイスさ」
妹が、満面の笑顔を見せた。
そして、妹の姿が俺の前から消えた。
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