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路地裏を走る。男の姿を確認した。男はパチンコ屋を左に曲がる。入り口から人が出てきた。接触してバランスを崩す。右足に力を込めて体勢を無理矢理立て直した。
パチンコ屋を左に曲がる。男が右に曲がる姿が一瞬見えた。俺はさらに足を速める。
真っ直ぐ進んで行くと、100円パーキングにたどり着いた。車は一台しか停まっていなかった。
男がコンクリートの塀をよじ上っていた。俺は、急いで近付き男の左足を掴む。そして、おもいっきり引く。男を引きずり落とす。男は、背中から落ちて、頭を地面に打った。
俺は、馬乗りになり男の右頬を力一杯殴った。
「ハッハッ! ハッハッハハハハハハ!」
男は、笑っていた。額から血を流し、笑っていた。
俺の身体の中のものがにじんでいく。身体の内側が熱くなってきた。頭の中が冷たくなってきた。唾を飲み込む。拳を握る。
次の瞬間、左ももに激痛を感じた。ナイフが刺さっていた。ナイフを抜く。俺の血がナイフの上を流れる。
男の左手を広げる。男は、よだれを出しながら笑っている。
何も感じない。何も感じない。
ナイフを、男の掌に刺した。
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