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「なぁんだ。そんなこと?」
そんなこと、と返した。
「そ…っな…ておま…っ…く……俺…のぉ…!」
「『そんなこと』、ですよ」
総司は言う。
優しく。
ひたすら優しく。
そして、
「…ごめんなさい。」
何故か謝ってきた。
「どっ…て、そじ……がぁ」
「そんなこと、言わせるつもりじゃなかった。ただちょっと、いたずらしたくなっただけですよ。」
そう言って俺に抱きついてきて、
「ただ…それだけなんです。」
と、微笑む。
「そ…じは……っく…や…じゃないの?」
「どうして?好きなひとに抱いてもらえるのに。愛してもらえるのに?………庵さんは……嫌…でした?」
急に自信の無さそうな声になり、問いかけてくる。
そんな総司が可愛くて、俺もつい微笑む。
「んーん。嫌じゃ…なかった。でも…恥ずかし…くって…////」
そう言うと、総司はまた笑う。
「それは、私もですよ。だから仕返ししたんですから!………でも…嫌では…ないんです。だって…」
真っ赤な俺に
そっと口付けて、
真っ赤な俺の耳に
そっと囁く。
「愛していますから」
満月に誘われるまま、
貴方に溺れる―――…。
終
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