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松田は携帯を手に取り終話ボタンを押し、音を止める。
オレは笑いながら武末を揺さぶって声をかける。
「起きろ!武末おい!」
しかし、武末は起きる気配を見せず目を瞑ったままだった。
次第にオレの手に力が入り、揺さぶりも強くなる。
その時松田とオレの顔からは笑みは消え、暗い表情に変わっていた。
「嘘や…なぁ武末…寝てるだけよなぁ?」
武末の体はオレの力に激しく揺れるだけだった。
そこで初めてオレは…武末が息をしていない事に気づく。
目が段々と霞んで、一粒、武末の顔に水の球体が落ちる。
「武末ぇぇーー!!」
オレは無意識に力一杯に揺さぶっていた。
武末は相変わらず力に任せ体を揺らす。
「タケ…」
そう言うと松田はオレを止める。
松田も目に涙をこぼれんばかりに溜めていた。
「これが、死んでる奴の顔なんか…」
武末はいつもの寝顔のまま、帰らぬ人となった。
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